最近ジャンプについて書いている記事を多くみるので私なりに考えてみました。
私は現在、目的はそれぞれ異なりますが、ジャンプを導入しているクライアントには、バレーボール・サッカー・アルペンスキー・マラソン・テニスの競技者がいます。
それらの方に実施している内容も踏まえて、今回は”ジャンプ力を上げる”為のプログラムデザインをなるべくわかりやすく書いていきたいと思います。
まずジャンプに必要な要素として
①筋肉量
②最大筋力(体重比)
③最大速度
④筋肉のバネを使う(SSC)
⑤フォーム練習
など、他にもあると思いますが、今回はわかりやすく、この5つに着目していきたいと思います。
①筋肉量
まずこれはジャンプに限らずどの競技に関しても最低限のベースです。②の最大筋力を上げる為にも必要な事です。
②最大筋力
最大筋力は文字通り、”筋肉の力がどのくらいあるか”です。力がある=重さが持てるという事なので、例えばジャンプの動作に近いスクワットがどのくらい持てるかという事です。
単純に重さが上がれば体を空中に持ち上げる力があるという事で、ジャンプも飛べます。
ただし、これには自分の体重も関与します。
例えば、
100kgのスクワットができる80kgの人と
100kgのスクワットができる60kgの人と
比べた時にどちらが高く飛べそうか、なんとなくわかると思います。
すなわち、最大筋力が体重比で高い人の方が高く飛べます。
トレーニングを導入したばかりの人や、思春期が終わりトレーニングを本格的に導入できるようになった学生はこの①と②だけでもジャンプ力の向上は見られます。
③最大速度
ジャンプ力を上げる為には、パワーを上げなければいけません。
パワー=力×スピードで求められます。
つまり、②の力をあげて、③の速度を上げるとパワーも上がるという事です。
③はなかなか測定する事が難しいですが、スクワットで例えるならば、100kgがいっぱいいっぱいで上げるよりも、楽々上がる時のほうが1回のスピードが速いと思います。
ですので、③を上げる為には②を上げるようなトレーニングをしていれば必然と③も上がるという事です。
※ウエイトリフティングは②と③を同時にできるので、有効な手段の1つだと言えます。が、ウエイトリフティングは未経験者にとって比較的難易度が高いトレーニングなので導入に対しては慎重になるところです。
④筋肉のバネを使う
実際はバネではないのですが、筋肉(腱)にはゲガの予防の為に、急激に伸びた筋肉を強く速く縮める働きがあります。
これをうまく利用すると、より力とスピードが発揮されるようになります。
これをストレッチ・ショートニングサイクル(以下SSC)と言います。
よく私はボールで例えますが、床にスーパーボールを叩きつけると元の位置よりも高く飛びますよね?あれはスーパーボールのゴムの弾性エネルギーにより高く飛びます。
ふにゃふにゃなボールを叩きつけるとどうでしょうか?さほど高く飛ばないはずです。
同じではないですがイメージはそれです。
トレーニング方法としては、プライオメトリクス というやり方で、ジャンプを連続でおこなったり、高い場所から降りた反動を利用してジャンプするような高強度なトレーニングです。
また、競技別に見ると、踏み切る際にSSCをより使う筋肉が腿の前・おしりとももの裏か・ふくらはぎなどの割合が微妙に変わりそうです。
例えば仮説ですが、走高跳を見ると片足踏切で、股関節と膝関節はほとんど伸びた状態で踏み切ります。股関節・膝関節も非常に重要ですが、関節の角度からさらにふくらはぎ(アキレス腱)の筋肉の利用の割合が増えそうです。
また、バスケットのダンクシュートの場合は、助走に対して前足でブレーキをかけ、高飛びよりはお尻を引いて深めにしゃがみます。という事は高飛びよりもお尻の筋肉の動員が増える事が予測できます。
それらの特異性も踏まえてトレーニングプログラムが組めるとより良いと感じます。
またプライオメトリクストレーニングにより、伸ばされた筋肉を急速に縮めるタイミングの練習にもなりますので、タイミングの習得にも効果的です。
ただし、強度が高いトレーニングなので負荷やボリュームは気をつけなければいけません。
⑤フォーム練習
あくまで筋トレは筋トレ、競技をうまくなる為には競技の練習をしなければいけないのと同じで、高く飛ぶ為には高く飛ぶ練習をしなければいけません。
また競技によって、両足か片足踏切なのか、助走スピード、飛ぶ方向などが違いますので、この練習も不可欠だと思います。
これは、どちらかというと競技のコーチの役割かと思いますので競技を理解したコーチに聞く事をオススメします。
まとめると…
体重を軽くして、体重比での筋力をあげる事でジャンプ力は伸び、さらにSSCを使う練習や、競技練習でジャンプのスキルを上げる事でさらなるジャンプ力の向上につながります。
長くなってしまったので、今回はここまでにして、私たちトレーナーの専門分野である具体的なトレーニングプログラム作成は次回に掲載していきたいと思います。
S&Cコーチ/パーソナルトレーナー
木村聡